スマホも地図アプリも無くても冒険は出来た❕中国から中央アジア ~シルクロード横断ディープ旅~ ウズベキスタン編⑫
<寝台列車~ヒバ>~狭く砂にまみれるおぞましい恐怖のベッドに耐えた後には最後の楽園が待っていた~
《地獄列車と砂まみれ》
夜は横の窓が開いているせいか昼の激しい暑さが一転して震える程寒くなっていたので、改めて砂漠気候の極端さを思い知らされていた。
おまけにこの狭さのせいで寝ながらも、無意識のうちに落下を避けるために緊張していたせいか全く熟睡できなかった。特にやることもないので無理やり寝ていたが、ふと気づくとなんとベッドの上は俺が寝ていた箇所を除き、窓から入り込んだ砂がびっしりと敷かれて、砂がない箇所に沿って人型が出来ていた。。。
要するに空きっぱなし窓の横に俺達の縦列ベッドがあるので、砂が外から入り放題という事だ。頭や服を掃うとそこらじゅう砂が舞って、耳の中にまで砂がぎっしりと入り込んでいた。こりゃ不快なはずだわ。。
おまけに朝になって日が出て来て急に気温が上がって来るので、ますます不快指数が上がり10:30頃には不快指数Maxで、汗はだらだらと止まらないわで呆れるくらい非快適な乗り物だった。。。
これは意地でも個室側を取るべきだったと後悔するも、もうすぐヒバに着くので時すでに遅し。トイレに行こうと途中でクムのベッドの脇を通ったら、クムは190cmの体を無理やりダンゴムシのように丸めて顔を苦痛に歪めながらベッドに収まっていた。。
起きた時も顔が半泣きだった、そりゃそうだろう。。
ヒバに着くまで昨晩の子供達と交流して時間を潰していた。彼女達は日本語の本に興味津々で、皆とても可愛く本当に良い家族だった。お母さんもお茶をご馳走してくれたり親切で、その交流だけがこの地獄の大移動の中で心温まるオアシスだった。
《壁の中の古都の要塞へタイムスリップ❕❕》
電車は12:30到着予定が案の定遅れて午後2:10分にヒバに到着した。
電車を降りて重~い荷物を背負って歩いていると、このヒバは今までの町より更に暑い気がする。たまらずチャイハナに入りラグマンを頼む。
するとここのラグマンは今まで食べて来たのとは違ってスープはなく、トマトスパゲティーと焼うどんの間のような感じでなかなか美味かった。ここヒバはウズベキスタンでも西部に位置していて、食文化も独特の物があると聞くので、ウズベク飯に飽き飽きしていた俺達に新鮮な食欲を与えてくれるかもしれない。
そしてトローリーバスを初めて使いヒバの町の中心に向かった。すごくのんびりとのどかな農園風景やヒマワリ畑を背景にトローリーは進んで行く。乗り合わせた地元のおばちゃん達も親切でいい感じだ。
ここヒバという町はかつて王朝があり栄えた町で、旧市街は四角にぐるっと城壁で囲まれている。この城壁の内側に見どころや宿・食堂が詰まっており、トローリーを門の近くで降りた後、中に入って行った。
一歩城壁の中に入ると一気に世界が変わった。
まさに中世の古い町並がそのままで、以前ブハラに到着した時にも感じたここヒバでもタイムスリップした感覚が一気に蘇った。探していたObabek B&Bという宿も見つかったが、これも旧市街の中の良い雰囲気にある場所だ。
ただ家族経営の中の長女が英語を流暢に話すのだが、彼女の態度は非常に強気できつい印象なのでピーターカップルは少し気に食わない様子。ただ疲れていたし俺達4人はここにこのままチェックインした。
そして荷物を置き町をぶらついてみると、どこもミナレットやモスク・メドレセで溢れており、石畳の道路や古い井戸などが夕焼けに反射して見事なまでに俺の好きなイメージにマッチしている。
何というかロマンというか、懐かしさというか本能に直接突いて来るような景観に、俺は歩いているだけで酔っぱらったようにふらふらと歩きその町並みや地元の人達の生活の営みに溶け込んでいった。
自分の中では夢かあるいはお話の世界に入り込んだような錯覚があり、歩を進めるごとに現実感が薄くなって行った。雰囲気抜群の石畳の階段の脇でサッカーに興じる子供達や、夕焼けに染まって行く古い建物の横を歩けば歩くほど感覚が陶酔していく。。
ブハラは最初にこういう感覚に落ちた町なので印象は一番強いのだが、ここヒバは実際ブハラよりも良く古い町が残されており、タイムスリップの感覚はこちらの方が強い。またいい所にきてしまったと、暑さや疲れで鈍って来た旅の好奇心が再び持ち上がってきた。
《城壁から町を見下ろしながらの、極上アラビアンナイトのサンセット》
中心のミナレットに寄った後、北門から城壁に登れるので上って城壁の上を歩いてみると、ちょうど夕日が落ちて行く時間で、上から見た旧市街は茶色に染まり空は紫からピンクに染まって行き、まさにおとぎの世界にいるようだった。
この旅で最高の夕日を色々と見て来たが、今までブハラが一番だが、ここの夕日の風景もかなり上位に入るだろう。街を見下ろすとミナレットやモスク、土で塗り固めたクリーム色の壁の住宅などを見ていると全然飽きなかった。
その間の路地裏で家族で夕涼みしている人達や、走り回って遊んでいる子供達などが見えて面白い。いつまでもそこでぼんやりしていたかったが、暗くなって来たので宿に戻りディナーを食べた。
メインはプロブだったが味が薄く正直美味くなかった。食後月を眺めながらトランプしていると3女が混じって来て彼女は長女とは違い可愛げがある子だった。
ここヒバに来ても何か強く惹かれるものを感じている。