ボルネオ島初上陸2016 ~目指せオランウータンとジャングル~⑥ キナバル山登山編
<東南アジア最高峰の山へチャレンジ!>
《東南アジア最高峰の登山に挑戦!》
キナバタンガンでオランウータン発見のミッションは達成出来なかったが、この旅行の最後の数日間はまだ何も決まっていないので、最後のオランウータンチャンスにかけて、ダナン・バレー国立公園という恐竜時代からそのまんまの本物のジャングルに行ってもう一度執念でオランウータンを探す事にした。
その為にはそこに行く許可証やそこまでの車を手配しなければならなかったので、政府系のオフィスに直接行き申請をして入域許可を貰ってきた。
ようし、これであと一度チャンスがある!心置きなくこれから山に登れるぞ!
キナバル国立公園に向かう当日、チェックアウトをしていつもの乗り合いバス乗り場に向かうとスタッフ達はこの前Lupa Masaに行く時にも使ったので、俺の顔を覚えていた。キナバル山は人気のスポットなので、このバスはそんなに待たずに出発してくれた。
車内には数名他にもキナバル山に登る人達がいるらしく、ちょこちょこと言葉を交わし始めたが、その中に一人Mさんという日本人男性がいたのでその人と登山ガイド代をシェアする事になった。
《キナバル山登山の仕組み》
このキナバル山登山はマレーシア政府の貴重な収入源にもなっているので、登山の際には事前の申請が必ず必要で値段も外国人はマレーシア人の倍以上払う事になる。
その際必ず予約は何故かステラリゾートという会社を通さねばならず、その会社の山小屋と食事のパッケージを申し込むことで入山が許可されるのである。非常におかしな話だが、これが俗にいう”マレーシア政府とステラリゾートの癒着”で、ステラリゾートが全利権をこの登山に関して握っているのである。
この件はかのロンリープラネットでも、”ステラリゾートの一人勝ちの出来レースのモノポリー”とか、皮肉を込めて”ファイブスターマウンテンクライミング”などと揶揄されている。
そして、国立公園入口でバスを降りたらまずステラリゾートのオフィスに行き入山の手続きやチェックインをするのである。そう、ここは完全なパッケージでしか登山することが許されないのであった。。。
手続きが終わると今度はガイドの申し込み(これも必須条件)をせねばならず、これをMさんとシェアする事にしたので半額になった。
これでここからはひたすらステラリゾートとガイドによってベルトコンベアに乗せられた完全パッケージの登山が始まるのである。。
登山は次の日から始まるので、今日はガイドとの顔合わせを終え後は自由時間になりランチを食べたら(勿論ステラリゾートのバイキング)部屋でゆっくり出来る。
晩御飯もバイキングだったが、かなり充実した内容だった。バイキング形式だと数にごまかされ、一品一品が❓という事が多いがここはスタッフのサービスもホテルと一緒で何か自分が場違いな場所に来てしまったようなくすぐったさを感じた。
ここは夜もう冷房がいらないくらい快適で涼しいので、ある程度の高地にいる事を実感出来た。
《登山開始と下痢ガイド・ミスターシンギ―》
翌朝貧乏性の俺は登山がこれからだというのに、しっかりと朝食を腹がパンパンになるまで詰め込め、一緒に上るMさんとガイドと集合した。我らがガイドはシンギ―という見た目はこの道十数年、といったベテラン振りが見えるのだが、何故か顔色が優れない。聞くと彼は腹を下しているらしく、””俺が調子悪いから今日はゆっくり目で頼む”と挨拶もそこそこにそんなことを言われてしまった。。。
おいおい、下痢ピー中年男とこれから登山すんのかい! 出会って早々早速トイレに駆け込んでいるガイドのシンギ―を先行き不安な顔で見つめているMさんと俺。。。
シャトルバスに乗って登山開始のポイントまで行ってイザ登ろう!、となった所でまたミスター腹下し・シンギ―が”ここから先あんまりトイレないから!”といってトイレに駆け込んでいった。。。
お前は昨晩一体何を食ったんだ!?? 拾って食ったサテイにでも当たったのか?
下痢男の波が一旦落ち着くのを待ってようやくスタート。
最初は涼しいので歩くのにも快適で、これなら鼻歌交じりにでも頂上に行けるんじゃないかと思っていたが、時間が進むに連れ徐々に気温も上がりどんどん暑くなってきた。。
おまけに思ってた以上にハナっから登りの勾配がきつく、俺は完全にナメていたことを思い知らされた。このキナバル山は約4100mの高さに頂上があるのだが、登るまでは難易度的に夏の富士山に毛が生えた程度にしか思っていなかったので、スキップして気軽に頂上に登れると思っていた。。
が、思いのほか暑さと延々と続く急勾配に汗がとめどもなく流れてくる。そして気づくと本来先頭を切って歩かなくてはならないシンギ―の姿は、後ろを振り向いても視界に捉えられず、頻繁に奴の森の影での野外活動を待たねばならなかった。。。
それでも途中に咲く植物や、時折見せるキナバル山の頂上の景観がよくてシンギ―の尻から漂ってくる匂いも忘れる事が出来た。
そして登り続けて午後に今晩泊まる、標高約3200mにあるLaban Rataロッジに辿り着いた。ここもこの標高にあるとは思えない程綺麗で、スタッフも丁寧なサービスでこの日の食事も勿論バイキング形式だった。
食事の内容も良く、この場所でこれだけの物が食べられれば満足だ。ガイドは何を食べるか分からないが、シンギ―は今日はちゃんとした物を食べて腹下しを是非直してほしいものだ。。
部屋は皆が大部屋の中、たまたま幸運な事に俺とMさんの他にもう一人だけニュージーランド人の退役軍人のおじいさんがいただけだった。この人はかなり山やアウトドアの経験がありそうで、年齢の割にかなり体力も充実していそうだった。
《登頂開始!ご来光と復活した下痢ガイド・シンギ―》
夕食後8:00にはベッドに着いたのだが、中々眠る事が出来ずに結局午前2時の起床の時間になったので殆ど寝れていないまま出発となった。
まだ真っ暗な中登り始めてすぐに道は更に急勾配になっていき、岩肌が露出していてロープが張られているポイントまで登ってきた。急な所は足元が滑りやすく、乾季の今でもロープを使わないと登りづらい。これが雨期だったらもっと滑りやすいんだろうと、改めて思ってた以上にキツイ道のりである事を実感する。
ロープを登り切っても更に急な岩肌の登りが続き、真っ暗な中人影がそこら中にうごめいていた。ここは真っすぐに登るより横にジグザグしながら登ったほうが楽なので、その方法で休まずにひたすら一定のペースで歩みを進めて行った。
相変わらずシンギ―は腹の調子が悪いのか、ペースが恐ろしく遅いので俺は自分のペースで行った方が逆に疲れないのでMさんとシンギ―を後ろに残し着々と他の登山客をごぼう抜きにして行った。
もう少しで頂上だという所でMさんとガイドのシンギ―を待って一緒に頂上に登ろうと岩陰で待つことにした。
しかし、そこは逆にもろに風を食らう所だったのであまり防寒してきてない俺は寒くてガタガタ震えながら二人を待った。そう、熱帯とはいえもう4000Mくらいの高度なので風がメチャクチャ冷たいのだ。
Mさんと合流したが一向にシンギ―がやってこない。。今日もどこかで自分の足跡を残しているんだろうか。。。?
一体お前は何をガイドしたっていうんだ!? そしてちゃんと紙で拭いたんだろうな!?
そんなシンギ―を震えながら30分弱待っているとようやく苦笑いしながら彼はやって来た。
そこから15分程岩壁をゆっくりと登っていくといつの間にか人間が固まっている所に辿り着き、そこが頂上だった!
いや~~、思ったより登りがきつくて疲れたな!でも無事にMさんとシンギ―と3人揃って登頂出来て良かった!
ただ頂上に続々と人がやってきて、もはや写真を撮ったら居場所がなくなるので少し降りたところでご来光を眺める事にした。
少し明るくなってきたので少しずつ下山する事にした。
明るくなってくると視界がハッキリしてきて、下りは太陽に照らされて明るくなる岩山の眺めを楽しめる余裕を持ちながら降りて行った。
そして岩肌を降りている途中にあるスポットでミスター・下痢ピーガイドのシンギーが言わなくてもいい事を言ってきた。
実はこの2016年の前年にここキナバル山付近で大地震があったのだ。
それでこの登山の数か月前までここは閉山されていたのだが、その地震の時にも当然登山客がいたわけで、シンギ―はわざわざ我々に今まさにこのスポットで数名の登山客が地震に巻き込まれ目の前にあるロープに首を絞められなくなった人もいる、と身振り手振りで詳しく状況を説明しながら言った。。。
更に本当かどうか知らないが、日本人登山客もこの辺のスポットで亡くなったのだと言い放った(実際に亡くなった登山者の中に日本の方がいたのは知っていたが、そのスポットかどうかは真偽は分からない)。
なぜ、なぜそんな話を今まさにここを歩いている俺達にする必要があるんだ!?シンギ―、教えてくれ。。何がしたい???
そして岩の部分が終わった辺りから腹の調子が良くなったのか、急に別人のようにシャキッとした表情になりエネルギーがあふれ出したシンギ―。
そして何を思ったのか突然雄たけびを上げながら狂ったように、まさに疾風のように山を駆け下り始めたシンギ―。
俺とMさんは面食らいながらも必死についていく。一度走り始めた彼は止まる事を忘れ、一気に次のトイレ休憩ポイントまで数十組の登山グループをごぼう抜きにした俺達。
今度は一体何が起こったんだ、、、シンギ―!??
あんたは尻に花火でも入れてんのか!!びっくりするじゃねぇか!
それにしても腹が治ったと思ったら急に元気になりやがって。。分かりやすい男だ。
トイレ休憩後もますますギアを上げて加速して行くシンギ―。それに必死についていく俺達の膝もガクガクしてきたが、これは一体全体何をやっているんだろう?
新手の罰ゲームか、何か知らぬ間にレースに参加させられているのか?それともシンギ―はこの後町で合コンの約束でもあるのだろうか?
とにかくあっという間になん十組の登山者達を追い抜き出発地点に戻ってきた俺達。
いや~、シンギ―の狂人ぶりは置いといて、思った以上に体力を使って気持ちの良い登山だった。一緒に登ったMさんはとても穏やかな良い人で、この登山を共有出来て良かった!
そして登山後はステラリゾートのバイキングランチも待っていたのである。最初はこのベルトコンベアーに乗せられたような登山に違和感を感じていたけど、たまにはこういうのもいいかもね。
ただもう一度はやらないと思うけど。。。
《キナバル登山について》
文章中にも”完全パッケージの山登り”や、”ファイブスタークライミング”などと少々ネガティブに聞こえる書き方もしてしまったかもしれないが、これはこれで余計な物や心配を持ち込まずに登山に集中できるという利点がある。
また、実際に旅行期間が短い日本から来る旅行者には合っているシステムかもしれません。
それに熱帯地域の山だからか、トレイルも安定していて雪崩などの危険が無い極めて遭難や事故に巻き込まれる可能性が少ない安全な山だと思う。
ただ雨期は激しく雨が降る時があり、そうなると頂上付近の岸壁はすべりやすくなるので、出来れば乾季で人も少なめの3~5月がお勧め出来る(サバの他の場所を旅行するのにも最適な期間)。
ここは特別なスキルがなくても普段少し運動して、またちょっとの頑張り(根性)があれば誰でも登れます。
なので、海外登山の登竜門として他の難易度の高い所に行く前に、一度来てみて登ってみるのもいいかもと思います!!
そしてMさんと一緒に国立公園を出て、表通りでコタキナバル行きのバスを待つが中々バスが来ない。
そんな時ちょうどキナバル登山にこれから行く客を下ろした豪華なワンボックスカーが空で帰るついでに格安で俺達も乗せて行ってくれるというので、それに乗ってコタキナバルまで帰ってきてMさんとお別れした。
これで登山は終わったが、明日からはガラッと変わってビーチに行って無名のサーフスポットを見に行って来るのだ!
成田から週2便コタキナバルまで直行便有り!
SUUNTO(スント) スントコア 腕時計 高度計 気圧計 コンパス 温度 ウェザーアラーム シュノーケル用深度メーター搭載 SS020339000 Brushed Steel